1.調査要領
(1)調査対象
対象地区 加治川商工会地区内小規模事業者
調査企業数 104 事業所 (うち小規模事業者数 95 事業所)
回答企業数 30 事業所 (うち小規模事業者数 24 事業所)
(回答率 28.8% )
(2)調査対象期間
平成30年7月~平成30年12月
(調査時点 平成30年12月1日)
(3)調査方法
経営指導員等による巡回または窓口によるヒアリング調査
(4)調査対象と回答企業の構成
調査対象 有効回答
企業数 構成比 企業数 構成比
製造業 15 14.4% 5 16.7%
建設業 43 41.3% 13 43.3%
卸・小売業 20 19.2% 5 16.7%
サービス業 26 25.0% 7 23.3%
合計 104 100.0% 30 100.0%
2.地域内産業全体の景況概要
前年同期、前期、今後とも不変と答えている事業者が多いが、各指標とも増加、上昇より減少、低下が上回っており、大手企業や都市部に比べ地方の小規模事業者の経営環境は依然として厳しさが続く傾向と言える。
ただし、今後の見通しで好転と考えている事業所が2件となっており、先行きに少しは明るさが出てきている。
【後継者の状況】
半数以上の事業者に後継者がいない状況である。特に小売・サービスで後継者なしの回答が多くなっており、地元での買い物やサービスの提供が困難になっていくことが予想される。
後継者 あり 13事業所 43.3%
後継者 なし 17事業所 56.7%
【売上高】
昨年の調査時に比べ、前年同期比、前期比で減少と回答した事業所の割合は横ばい傾向である。しかし、不変と減少の事業数は全体の3分の2であり、今後の見通しについては減少が最も多くなっており、厳しいと考えている事業所数が増加している。増加と回答した事業所は7社で、二極化が進んでいるものと思われる。
前年同期比 前期比 今後の見通し
増加 不変 減少 増加 不変 減少 増加 不変 減少
10 8 10 13 7 10 7 9 13
【採 算】
採算については、不変・悪化と回答している事業者が全体の約8割と、非常に厳しい状況である。売上が増加している事業所も増えているが、採算面では厳しい状況が伺える。今後の見通しついて全体として悪化していく見通しの事業所が最も多い。
前年同期比 前期比 今後の見通し
好転 不変 悪化 好転 不変 悪化 好転 不変 悪化
5 12 10 7 10 12 4 16 8
【仕入単価】
仕入れ単価については、全体を通じて上昇傾向である。仕入れ単価の上昇が売上の上昇よりも大きく、採算を圧迫していると思われる。
今後のこの傾向はさらに続くと考えられ、さらなる仕入れ単価の上昇が、採算性を圧迫し、事業所の利益を減少させる要因となることが予想される。
前年同期比 前期比 今後の見通し
上昇 不変 低下 上昇 不変 低下 上昇 不変 低下
18 7 0 16 11 0 15 10 1
【販売(客)単価】
販売単価については、全期を通じて不変が最も多くなっており、売上の傾向と比べた場合、客数が減少しているため売上が低下していると言える。
前年同期比 前期比 今後の見通し
上昇 不変 低下 上昇 不変 低下 上昇 不変 低下
1 18 5 2 22 3 0 21 5
【資金繰り】
資金繰りについては、全期を通じて不変が最も多い。これを採算の傾向と比べると、資金繰りが悪化と答えた事業者は、採算で悪化と答えた事業者より少なくなっており、不変と答えた事業者が増えている。今後の見通しは不変もしくは悪化となっており、今後仕入れ単価の上昇・採算の悪化等により資金繰りが悪化する事業所が増えてくる可能性がある。
前年同期比 前期比 今後の見通し
好転 不変 悪化 好転 不変 悪化 好転 不変 悪化
0 18 8 1 18 9 1 18 8
【雇用動向】
雇用動向は、全期を通じて不変が最も多くなっているが、増加と回答している事業者が約増えてきている。人手不足が深刻化する中、人材の確保が課題となっている事業所が増加しているが、なんとか人材を確保し、受注等に対応しているものと思われる。
前年同期比 前期比 今後の見通し
増加 不変 減少 増加 不変 減少 増加 不変 減少
6 16 3 8 18 1 2 22 2
【景況判断】
景況判断については、全期を通じて不変が最も多いが、悪化と答えた事業者が好転と答えた事業者より圧倒的に多くなっている。今後の見通しも約半数が不変、もう半数が悪化と回答しており、好転と回答した事業所はわずか2件であった。好景気と言われているが、地方の事業者にとっては、好転の兆しが見えない非常に厳しい状況である。
前年同期比 前期比 今後の見通し
好転 不変 悪化 好転 不変 悪化 好転 不変 悪化
4 12 9 5 14 9 2 15 10
【経営上の問題点】
経営上の問題点
3.産業別景況概要
(1)製造業
売上、採算性とも、前年同期、前期とも増加・好転が最も多く、今年度についても好調であったことが伺える。しかしながら、今後の見通しとしては、不変・減少回答しており、見通しは厳しい。仕入単価は、ほとんでの事業所で上昇と回答しており、仕入単価の上昇分をうまく売上に転嫁し採算性の確保はできていると思われる。資金繰りの状況は不変であり、良くも悪くもない状況と思われる。雇用動向は若干悪化しており今後も厳しい状況となることが予想される。景況判断については、好転と回答した事業所もあり、全体としてはそれほど悪化していないと推察されるが、今後の見通しは不変と回答している。経営上の問題としては、店舗設備の老朽化が最も多く、受注に対して生産性の確保が重要となっている。
回答したの事業所のほとんどで後継者ありとなっている。
(2)建設業
売上については、全期と比べいくぶん好転しているが、不変もしくは減少と回答した事業所も多い。採算性についても好転しているところもあり、回復の兆しが伺える。仕入単価も上昇傾向であり、今後も上昇することが予想され、売上が伸びない中、採算を悪化させかねない。販売単価、資金繰り、雇用動向、景況判断については、不変が最も多くなっていた。経営上の問題点は、従業員の確保、受注・販売競争の激化、仕入単価の上昇の順となっている。
建設業においては特に従業員の確保が非常に難しくなっており、今後人手不足による受注減等が懸念される。
約半数の事業所で後継者ありと回答しているが、なしと回答した事業所での後継者対策が急務となっている。
(3)卸・小売業
売上については、前期、前年同期、今後に掛けて不変の回答がなく、上昇か減少となっており二極化している。ただし全体として地域の小売業が非常に苦戦している状況に変わりはなく、採算性自体はほとんどで悪化し、仕入単価も上昇している。
販売単価と資金繰りは、不変と低下・悪化が多い状況である。景況判断については、全期を通じて悪化が最も多く、来年も小売業にとっては厳しい状況が続くと考えている事業者が多い。経営上の問題点としては、需要の停滞、店舗等の老朽化の回答が多くなっている。人口減少による需要の停滞と採算性の悪化から店舗改装等の設備投資ができない状況が伺える。
また、後継者については、8割の事業所でなしと回答しており、今後の地域の小売業の存続が危ぶまれる。
(4)サービス業
売上については、前年同期比、前期比ともに不変が最も多いが、今後の見通しについては悪化と回答している事業所が増えてきている。採算については不変が多く、今後は良くもならないが悪くもならないと考えている事業所が多いものと思われる。その他の仕入れ単価、販売単価、資金繰り、雇用動向、景況判断についても全期を通じて不変が最も多い。経営上の問題点としては、需要の停滞が最も多く、仕入単価の上昇、人件費以外の経費の増加が続いている。需要の停滞により売上や販売単価が上昇しない原因と考えられる。
後継者については、ほとんどの事業所で後継者がおらず、小売業と同じく地域でのサービス提供が危ぶまれる状況である。